『キリスト教学校の使命と課題』
著者である塚田理氏は立教大学総長、立教学院長を歴任し、2000年3月定年退職まで日本聖公会の司祭として牧会活動をされてきた。著者は「近代英国の神学」、「日本聖公会の形成と課題」、「天皇制下のキリスト教」、「日本聖公会の形成と今井寿道」などで明らかにされているように、アングリカニズム、初期日本聖公会の状況および日本における聖公会をはじめキリスト教と国家間の関係に関する研究をされてきた。
本書は、立教学院の建学の精神を念頭に置きながら、立教学院の歴史を振り返り、またその教育上の課題について話したことを中心にまとめたもので、全体的に日本におけるキリスト教に基づく教育の在り方を問うものだと著者ははしがきで述べている。なお本書の内容は立教学院に関わる事柄が中心ではあるが、問題の核心は日本の近代の歩みのなかで、同じように苦難の途と種々な曲がり角に遭遇してきた他のキリスト教学校にも共通するものと考え、表題をつけたと記述している。
いずれにしても、本書が立教学院関係者をはじめキリスト教学校関係者、学生までにも示唆に富んでおり、興味深い内容のもので必読の書でなることは間違いないであろうが、あえて欲をいえば、これを契機に前述したように立教学院が歩んできた歴史の再解釈および再評価のため、またこれから志向していく道の指針として重要な役割を担う研究および議論が活発に行うことを願い,本書レビュ-の結びとする。